HR SUPPORT

HR INTERVIEW

HR CROSS TALK

PROLOGUE

UTECは投資先の成長を組織面、特に経営チーム面からサポートしています。それらを担うHRチームは現在4人(※)。バックグラウンドの違うメンバーは、それぞれの強みを活かしてどのように投資先を支えているのか。UTECだからこそできる支援内容を、現場の目線で語り合ってもらいました。
※本インタビューは3名で実施

TALK MEMBER

  • UTEC HR
    シニアマネージャー

    沖 大典

    Hirofumi Oki

  • HR
    スペシャリスト

    中島 佑悟

    Yugo Nakashima

  • ベンチャーパートナー 兼
    HRスペシャリスト

    朝倉 雅文

    Masafumi Asakura

SECTION 1

日本ではまだ数の少ないベンチャーキャピタル(以下:VC)の専任HRチーム。投資先支援に強みを持つ人員で構成されたチーム結成の経緯を聞きました。

- HRチームは、どのような経緯で
立ち上がったのでしょうか。

VCはお金を出して終わりではありません。また、優れた投資先の戦略があってもそれらを実行する組織がないと意味がありません。UTECは2004年の創業以来、単なる投資だけでなく、経営のハンズオン支援をはじめとした100名以上の投資先の経営陣の紹介・輩出をしてきました。我々の投資先は、研究者・エンジニアがファウンダーであるケースが多く、彼ら彼女らを支える強力な経営陣と、持続的に成果を出せる組織作りが非常に重要になってきます。それらを支援するのが我々HRチームです。

私は、成長企業に対する人事コンサルを行うスタートアップで働いたのち、英系のエージェンシーでバイオベンチャー向けの支援を行っていました。その関係でUTECの採用活動を手伝っていたところ、思いがけず代表の郷治から「投資先の創業/経営チームづくりを専任とするポジションをつくるから、やってみないか」と誘われ、2018年にジョインしました。入社の決め手は、UTECのビジョンに共感したのと、また当時日本でもVCがHR支援を行うことは稀でしたが、そこに醍醐味も感じました。入社後3年間で、60名以上のCEO含む経営人材がUTECサポートにより投資先にジョインしました。紹介した経営陣がキーとなりIPOや海外へのM&Aが成功する事例も増え、さらに投資先が増えてきたタイミングで、私一人ではなくチームで支援していく必要性を感じ、朝倉さんや中島さんに声をかけました。

朝倉

私は前職では約10億の資金調達をし、東証一部上場企業へM&Aしたデジタル製造業のスタートアップのCOOを務めていました。経済産業省とのIoT推進ラボや機械学習のプロジェクト、海外事業開発、また人事組織の立ち上げや人事制度の設計も行ってきました。VCから出資を受けているスタートアップの経営陣でしたので、出資する投資家側、出資を受けるスタートアップ側、両サイドの立場が理解できる点は強みかと思います。スタートアップ参画前はシンガポールで約3年、代表取締役社長として人材系の会社を経営しておりました。

沖さんからは「VCの投資先支援を一緒にやらないか?」と声をかけていただき、2020年10月からベンチャーパートナーとして国内外の投資先、投資候補先のご支援させていただいています。

中島

私は前職ではエンジニア採用サービスを提供するHR Techのスタートアップで働いていました。そこではマーケティング・セールス部門の責任者として働いていて、様々な企業の採用活動を支援していました。

UTECの投資先企業も数社ほど顧客としてお付き合いいただいており、その一環で沖さんと知り合いました。そして前職を退職したタイミングで声をかけていただき、2020年10月からHRチームに参加することになりました。

声をかけてもらった際に「スタートアップにおいて採用はとても大事な機能であるにも関わらず、重要性や難しさに気づいていない経営陣も多い。そのため単に採用業務のサポートをするだけではなく、経営陣の意識変化やモチベーションもサポートしていかないといけない。」という話もしていました。優れたサイエンス・テクノロジーをビジネスとして社会に還元するためのHR支援を心がけています。

SECTION 2

さまざまなバックグラウンドを持つメンバーたちの総合力―。それがUTECのHRチームの強みです。

- UTECのHRチームは、
投資先をどのようにサポートしていますか。

緊急性や優先順位の高い投資先に対してはハンズオンで手を動かしながらサポートしています。担当制ではなく、4人がそれぞれに得意領域の知見を活かしながら全員で支援する体制です。たとえば中島さんはIT領域の投資先のエンジニア職の採用や、PR関連の支援。朝倉さんは事業と組織をつなげる上流の部分から、ハードウェアに関わる投資先、グローバルに事業を展開する投資先などの支援をしていただいております。2人ともキャリアとしてHRという軸足を置きながらも、HRだけでない経営やエンジニアリングなどに強いメンバーです。

朝倉

投資先のビジョン・事業計画を踏まえた上で、企業価値を上げていく支援が重要だと考えています。HR支援というのはあくまでもその為の一つの手段です。

例えば、我々の投資先の一つである製造業×機械学習のスタートアップの支援をした際は、プロダクトロードマップや営業戦略から整理を行い、それらを実行する最適な経営人事はどうあるべきか?のディスカッションを続けました。技術の理解はもちろんの事、資本政策と事業計画書を理解した上で、どのような経営人材が今後投資先の企業価値を上げていけるか?という観点を踏まえた上でご支援させて頂いております。

中島

またどんな人が必要かというニーズの深堀りだけでなく、候補者にとって入社する意義・魅力は何かという採用上の訴求を設計することも重要になります。特に採用倍率の高いハイクラスな人材やエンジニアではこの重要性が大きく増します。我々の投資先は優れたテクノロジーであるが反面、情報をそのまま伝えても理解が難しいものが多く、候補者が理解しやすく魅力的に映るように工夫しなければなりません。私はもともとPRや広告を経験していたこともありこのような工夫は得意です。朝倉さんが支援していた投資先でも「どのように候補者に見せるか」という情報整理を投資先CEOと議論しサポートしました。メンバーのそれぞれの強みを活かしてチームでうまくサポートできたケースだと思います。

また、ハンズオンで支援することもUTECの特徴かと思います。ある投資先では2019年頃に沖さんが投資先常駐にて支援を行い、フェーズが変わった2021年からは私がハンズオン支援を行いました。

また我々はHRチーム以外の投資先バリューアップメンバー(ベンチャーパートナー)もいることが特徴です。ファイナンスや、プロダクトマネジメント、事業開発・知財などに専門性があるプロフェッショナルです。上場企業でのCEO・CFO経験者や、ライフサイエンス企業での海外事業開発、外資PEファンドでのIPO支援経験者などがおり、さまざまな角度・コラボレーションによる支援体制を構築しています。ベンチャーパートナーの採用やアサインメント、管理などもHRチームが担当しています。

SECTION 3

UTECのHRチームでベンチャーを支援する醍醐味は何でしょうか。率直に語ってもらいました。

- HRチームに参画して、どこにやりがいを感じていますか。

経営にとってヒトは命です。掲げたミッションや立案した事業計画を達成できるかどうかは、経営チームを中心としたヒトにかかっています。そのための投資先の組織作りを創業期から関われるのは非常にやりがいがあります。またヒトに関わる悩みは非常にセンシティブで、経営陣はなかなか他人には相談できない内容です。そこで我々がアドバイスすることは、非常に責任も伴いますが、UTECだからこそできる支援です。またこれまでの17年間の支援実績のナレッジやデータがあるので、それらを活用した支援ができるのも面白さの一つです。

朝倉

投資先経営陣、UTECのメンバーなど非常に志高い人と働けることだと思います。ある海外の投資先は、日本の高齢化の問題に対する機械学習のソリューションに取り組まれておられ、大変感銘を受けました。志を持った国内外の投資先の経営者方々とご一緒させて頂ける事には大変やりがいを感じております。また米国NASDAQへの上場支援支援や事業価値1,000億円を超える成長支援実績のあるキャピタリストと働く事が出来る機会はなかなかないのではないでしょうか。

私たちの投資先の事業は、バイオやハードウェアなど、実を結ぶまでにお金と時間がかかるビジネスが中心です。そうした投資先に対して、企業ができる前の事業構想段階のチーム作りから関わり、投資後最大約10年に渡り伴走できるのはUTECHRだからこそ。スタートアップを長く支援したい人にとって、UTECは働き甲斐のある職場じゃないでしょうか。

中島

VCの立場から人材要件や採用について提案を行うことも大きなやりがいのひとつです。たとえば人材の要件も、投資先の企業が必要だと考える要件と、UTECの立場から必要だと考える要件では異なることもあります。仮に私が採用コンサルタントとして投資先から報酬をもらっている場合は、基本的に要望された人材をどのように採用するかを支援することになりますが、UTEC観点ではもう一歩引いた目線で「どのような組織にすることが投資先の企業価値向上に繋がるのか?」という観点から支援をしなければなりません。そのためには御用聞きにはならず、HRのプロとして投資先経営陣とも対等な立場で話すことが求められます。このような環境でよりHR業務について大局的な視点・考えを日々学んでいます。

またやっていることへの手ごたえもあります。私たちの支援をきっかけに、「やはりHRは経営陣も積極的に参加すべき」と気づく投資先が増えてきました。スタートアップの中でHRのプレゼンスを高めたいという思いでジョインしたので、これは嬉しい変化です。

UTECのキャピタリストと協力しながら支援するのも面白みの一つです。キャピタリストは投資先と共に事業計画や資本政策を作成しますが、私たちはそれに連動した形であるべき組織図計画を考えます。さまざまなバックグラウンドを持ったキャピタリストとの協業は、いい刺激になります。

SECTION 4

投資先への支援体制が整ったHRチームですが、次のステージを見据えてさらなる強化を検討中です。

- 今後の個人やチームの目標を教えてください。

朝倉

中長期的には、UTEC投資先をグローバルのマーケットで成功させることです。日本発で海外でIPOやM&Aをする場合もあれば、海外から日本でIPOやM&Aというケースもあるかと思います。それを達成するための、投資先の組織作りをしていきたいですね。

短期的には、製造業を中心としたフィジカルサイエンス領域の強化です。デジタル製造業領域でCOOをしていた事と、現在自身で経営している会社でもデザインとテクノロジーに関わっており、ここはUTECでも強化出来ればと考えております。具体的には、デザイン、試作、量産の一気通貫した流れに関しても支援が出来る体制を創り上げていきたいと考えております。

中島

自分の問題意識は変わっていません。日本にはすばらしい技術・アイデアを持っているスタートアップがたくさんあります。しかし、HRをおざなりにしていたがために伸び悩む企業も後を絶ちません。スタートアップの成長には、事業やファイナンスの観点だけでなくHRの観点も絶対に必要です。とくにUTECの投資先は世界でも戦える技術・アイデアを持っている企業が多いので、ぜひ力になりたいと思ってます。

全人類的な課題の解決を目指している研究者・起業家のビジョンを実現するために、世界で戦える経営チームづくりをしていく目標は今後も追い続けていきます。また私たちが紹介して経営幹部になった方が、UTECやUTEC投資先に戻ってきて、再びスタートアップにチャレンジしていく還流をつくっていきたいですね。もうすでに何名かにそういった方がいるので、より大きなエコシステムを作っていきたいです。

チームとしては、アジアでも有数のVCバリューアップチームを構築したいと考えています。直近のファンドでは約半分が海外の投資先であり、国内の投資先もグローバル展開が前提になる投資先がほとんどです。世界の研究者・起業家から選ばれ、グローバルに支援できる体制にしていきたいですね。