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UTEC NEWS
2019年2月28日Blume DayでのBUDHAイニシアチブ発表【インド・ムンバイ】。Blume Ventures のNath、Reddy両マネージングパートナー(中央及びその左)、UTECの 郷治マネージングパートナー (中央右)、坂本パートナー(左端)、Mysoreベンチャーパートナー(右端)
UTECは、2018年に総額243憶円規模のUTEC4号ファンドを調達後、国内外のスタートアップに積極的に投資を行ってきました。世界で最も若く急成長している国の一つであるインドを含むアジアに対しても、複数の投資を実行してきたところです。近年まで、インドのほとんどのスタートアップはB2CやSaaS分野に集中していましたが、最近はインドのベンチャーシーンにおいても、イノベーションをベースに世界的な課題解決を志向するScience/Deep-Tech分野が勃興するポテンシャルを強く感じているところです。こうしたインドの状況は、Science/Deep-Tech分野にフォーカスして15年前にUTECが創業した時点の日本の状況を彷彿とさせます。
Blume Day 2019におけるUTECのプレゼンテーション
Blume Day 2019での基調講演において、郷治友孝UTECマネージングパートナーは、Science/Deep-Tech分野のスタートアップへ投資するベンチャーキャピタルが日本でも非常に珍しかった2004年当時のUTEC創業期を回想して以下のように述べました。郷治は、日本政府においてベンチャーキャピタルファンドの根拠法制を起草した後、その立法趣旨をScience/Deep-Techベンチャーへの投資に実践することを通じて既存産業に並ぶベンチャーエコシステムを日本でも創出することを夢見て、2004年、UTEC共同創業のため退官しました。以来UTECは、約100社のベンチャー企業に投資を行い、10社のIPO、ほぼ同数のM&AによるEXITを行ってきたところです。そうした中から、アカデミア発でUTECの積極的なサポートを受けながら世界的な成功を収めつつあるポートフォリオ企業として、バイオ医薬分野の医薬探索・開発スタートアップであるぺプチドリーム社、産業用ドローンを展開するスタートアップである自律制御システム研究所(ACSL)などの上場企業が生まれてきています。現在の世界は、対立や紛争によって、国々が分断されてきています。こうした中、Deep-Techをベースにグローバルな人類の課題解決に取り組むスタートアップの必要性が益々高まってきていると考えています。2004年の日本のDeep-Techベンチャーのエコシステムの状況と現在のインドのそれとを関連付けて考えると、インドからいくつかの成功事例を創る取り組みを始めることが、今後非常に多くのDeep Techスタートアップを産み、それらが世界に向けて着実に広がり、世界人類の課題解決に貢献していくものと思われます。それこそが今回、UTECがBlume VenturesとBUDHA(Blume UTEC Deep tecH Accelerator)イニシアチブを開始した理由です。
UTEC郷治による基調講演
UTECパートナーである坂本教晃は、インドにおけるDeep-Techに関するパネルディスカッションにおいて、Charit Bhograj博士(Tricog Health社CEO)、C. S. Murali教授(インド科学大学院大学STEM Cell Incubator会長)とともに登壇し、UTECの投資哲学を紹介すると共に、大学発ベンチャーの成功のポイントについての考えを共有しました。
ディープテックパネルに登壇する坂本
UTECのインド/アジア地域における投資
2018年初頭、UTECは、シンガポール本社のTricog社の総額$4MのシリーズAラウンドをリードしました。Tricog社は、最先端の機械学習アルゴリズムを通じて心電図(ECG)を分析し、医師を介してリアルタイムの診断結果を提供するDoctor to Doctorのサービスを提供しています。現在インドを中心に世界12か国で1,200の病院に展開し、既に170万人以上の患者に対して診断を実施しています。UTECはTricog社に日本の医療機器メーカーやKOLを紹介し、営業展開やR&D分野の協業についても積極的に検討を進めています。Blume VenturesはTricog社のシードインベスターであり、本件がUTECとBlume Venturesの初の協業(共同投資)案件となりました。
UTECのインド関連の投資の2件目は、Bugworks Research社です。UTECは2018年8月に、総額$9MのシリーズAラウンドをリードしました。Bugworks社は、抗菌剤耐性(Anti-microbial Resistance (AMR))の世界的危機の解決に向けて、グラム陽性陰性のいずれの細菌にも作用可能な新規抗生物質の開発を行っています。インド・バンガロールにあるBugworks Research研究所においては、バイオテクノロジー、医科学、微生物学、薬学等各方面の博士号を持つ研究者が研究開発に携わっています。UTECは、投資後に、同社の共同研究者として、東京工業大学の村上聡教授を紹介しました。同教授は、多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造を解明した、この分野での世界的研究者であり、科学顧問に就任して同社の革新的な抗生物質の開発を助言しています。
上記の事例は、インドのDeep-Techベンチャーと日本の産業や科学技術を結び付けることによって、グローバルレベルでの価値を創出できる可能性があることを示しています。こうした取り組みの一層の推進を目的として、UTECは、Blume Venturesが運営する$80M規模の3号ファンドに対して、重要な出資者の一社として出資を行いました。2010年にKarthik Reddy氏とSanjay Nath氏によって創業されたBlume Venturesは、インドで最も活動的なアーリーステージの技術系ベンチャーキャピタルです。Blumeは、これまでも、その1号・2号ファンドから、上記のTricogに加えてGreyOrange、Locus、Stellapps社等の技術志向ベンチャーに対して投資を行ってきました。これらのインドにおける投資により、Blume Venturesは、最高クラスの起業家と働くことを通じて、海外展開可能なプロダクト/サービスを作り上げることを実践してきました。
BUDHAイニシアチブ – 目的とサポート内容
本プログラムは主にシード/プレシリーズAのベンチャーに対し、インドや諸外国において、科学技術をどのように商業化していくのかをサポートすることを目的としています。対象セクターとしては、ヘルスケア、ライフサイエンス、製造業、農業、IoT、ロボット、FinTech、AI等を想定しているところです。
BUDHAの目的は主に以下の2点です
●科学技術に立脚したインドのテクノロジースタートアップが、世界レベルで競争優位性を持つようにすること。Blume Venturesによる現地での資本・ネットワーク・メンタリングによるサポートに加えて、UTECの最先端の科学技術に対する深い知識や日本市場へのアクセスの提供により、対象となるスタートアップがグローバルマーケットで成功することをサポートす
●インドのスタートアップにおいて技術やアイデアを加速・発展させることが可能な研究機関を探索し、関係を構築すること。また、こうした研究機関とのネットワークにより、Deep-Techを活用して創業されたスタートアップをシステマチックに評価する。
BUDHAは、スタートアップに対して以下のサポートを提供します
●あらゆるステージでの、Blume VenturesやUTECからのファンドレイジング
●東大を含む世界有数の大学との共同研究等の実施を通じた、アジアの最先端の科学技術へのアクセ
●UTEC及びBlume Venturesが持つ大企業とのネットワークを活かした、日本、インド、シリコンバレー、東南アジア等におけるマーケットアクセス
●事業開発、マーケティング、パートナーシップ、規制等のコア分野におけるメンタリング
UTECの使命は、「Science/Technologyを軸に、資本・人材・英知を還流させ、 世界・人類の課題を解決するためのフロンティアを開拓する」ことにあります。UTECのポートフォリオ企業が、Deep-Techを基盤としてインド/アジアから日本を含むグローバルマーケットへと発展していくこと、BUDHAイニシアチブを通じてUTECとBlume Venturesとのこうしたパートナーシップと協業を深めていくことに、非常に大きなポテンシャルを感じています。
※インドメディア「YourStory」に掲載されました。
https://yourstory.com/2019/03/utec-blume-ventures-tech-startups-investment-6h2s27mazy
https://yourstory.com/2019/03/tomotaka-goji-utec-deep-tech-startups-2yeqz9x4ff